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クリーチャーズマンション

「驚異の存在」クリーチャー達がズラリ。 あなたの探求心、創作欲、冒険願望に火を着けたい! …読めば夢の中で会えるかも?

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No.5 変化大明神

変化大明神
主な原典=日本古典

性質

万物の変化を促す「陰陽の力」を象徴する神格。器物妖怪であるつくも神達に崇拝されていた。

直接変化大明神そのものの姿を見たという話は無いため、どのような姿なのかは決まっていない。また、つくも神達が変化大明神を祀る時にどのような姿でその神を表現していたのかも不明だ。

「太極」などの考えでは、世界の始まりにはあらゆるものに形は無かったが、太極の中で渾然一体となっている「陰と陽」≒「プラスとマイナス」の作用によって万物が形あるものとして形成されたと考える。

また、陰と陽は季節にも関係しており、例えば、夏から冬にかけて寒くなるのは陰の力が強くなっていくからとされる。

そのため、季節を区切る土用は、陰と陽のあり方が変わる時期となり、万物が形を改める時期とも考える事ができるのだ。ちなみに、こういった陰陽道的な考え方は、現代でも占いや風水の考え方の元となっている。

歴史

昔、家にある古い道具を家から出し、道端に捨てておく習慣があった。これは道具が百年経つと付喪神になり、人をたぶらかすという伝承を恐れたためである。

康保年間のあるとき、その捨てられた道具達が復讐を決意した。そのために何とか自分たちを化け物へ進化させようと考えた。その時に、数珠の一連入道は興奮している皆を説得しようとしたが、手棒の荒太郎にうち据えられ、結局どうにもできなかった。

そして、博識の古文先生が
「節分まで待っていなさい。節分は陰と陽が反転し、万物の有り様が変わる時だ。その時にその変化の力にその身を委ねてしまえば、きっと我々は変化することができるでしょう。」
とアドバイスしたため、道具達はひとまず節分を待った。そして節分当日、古文先生の言った通り道具達は妖怪とその身を転じたのである。

妖怪となった道具達は人を襲って食らい、また家畜も襲って食らい、大いに悪事を働いた。妖怪達はいつも飲めや歌えやで大喜びだったそうだ。そんな中で彼等は自分たちを妖怪に変えてくれた者を神として祀るべきだと考えた。

そこで、妖怪達は船岡山の奥に社殿を建て、変化大明神(へんげだいみょうじん)と名付け、神主等も決め、祭祀を行うようになる。これが変化大明神の発見であった。

ちなみに

もちろんこの妖怪達は調伏された。彼等は仏門に帰依し、密教の修行に励み、やがて妖怪でありながら即身成仏したという。

さらに、道具達の本性が、化け物になって人を苦しめるようになる者のはずがないという考えから、道具を化け物に変えたのは鬼の仕業なのだとも言われている。

しかし、やはり陰と陽によって万物が生まれ、変化するという考え方自体は世間に根付いている以上、例え道具達を化け物にさせたのが鬼だとしても変化大明神は存在する。

或いは、心を化け物にしたのが鬼で、体を新しく作り替えたのが変化大明神なのかもしれない。

この話は、「道具でさえ成仏できるし道具でさえ鬼によって化け物になってしまう。それならば人である我々は……」という事を考えさせられる。鬼にたぶらかされないように気を付けなければなるまい。


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